2014年4月8日火曜日

作用と反作用:「嫌韓」「嫌中」論が溢れる日本―戦前の「鬼畜米英」の再来か?:「新持久戦」へ

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レコードチャイナ 配信日時:2014年4月8日 2時14分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86169&type=0

「嫌韓」「嫌中」論が溢れる日本
―戦前の「鬼畜米英」の再来か?


●日本の週刊誌や月刊誌、夕刊紙などの大見出しは、韓国や中国をこき下ろすタイトルでいっぱい。朴槿恵韓国大統領や習近平中国国家主席を激しい口調で批判する論調のものからこれらの国々の民衆の「民度の低さ」をやゆするものまで千差万別である。写真は東京都内の本屋。

 日本の電車のつり広告や駅のキオスクなどで目にするのが週刊誌や月刊誌、夕刊紙などの大見出しだが、韓国や中国をこき下ろすタイトルでいっぱいだ。
 朴槿恵韓国大統領や習近平中国国家主席を激しい口調で批判する論調のものから、これらの国々の民衆の「民度の低さ」をやゆするものまで千差万別。
 当該国の経済の先行きについて「破たん」「崩壊」といった一方的な見通しを強調したり、否定的な面だけをクローズアップしたりする傾向が鮮明だ。

 単行本や新書などの書籍でも同じパターン。書店の本棚の目に付くスペースは、いわゆる「嫌韓」「嫌中」本で溢れている。
 「嫌」のほか、「呆」「侮」などの大文字もタイトルに踊り、隣国を嫌悪し侮辱する感情を読者に植え付け、煽りまくっている。
 ヘイトスピーチに代表される、外国人を排斥するデモや街宣活動に共鳴する層に訴えかけて、購入させようという意図も透けて見える。

 「中国経済の崩壊論を10年前から上梓し、売れるので何回も改訂してきたが、なかなか崩壊しないので困っている。
 どうして崩壊しないのか」
と先輩の評論家から尋ねられ、筆者の方が当惑したことがある。
 知人の月刊誌編集者は「読者の多くは中国の急成長ぶりに脅威を抱き、中国のマイナス情報を求めているので、勢いアラ探し的な記事が多くなる」と釈明した。
 ある週刊誌の編集幹部も「中国、韓国の悪い話を大げさに書くと、確実に部数がはける」と打ち明ける。
 出版・新聞不況の中で「嫌韓」「嫌中」論は「貴重な金鉱脈」として期待されているという。

 世間にそうした空気を醸している要因について、大手メディア出身の藤田博司元上智大教授は、
 「最近の韓国、中国との険悪な外交関係であることは言うまでもない。
 安倍晋三首相の歴史認識を隣国政府が批判する。
 首相を支持する人たちは反発し、いやが上にも反韓、反中の声を張り上げる。
 メディアの報道にもそれが跳ね返る。
 『憎悪』と『悪』の循環に発展させてはならない」(メディア展望4月号)
と警告している。

◆排他的ナショナリズムは「禁じ手」

 筆者の取材経験でも、世の為政者は国が内政上問題に直面している時に外に敵を作ってナショナリズムを煽り世論の支持を得ようとする誘惑にかられるらしい。
 特に「領土問題」は国民の感情に訴え支持を集めるまたとない媚薬となり得る。

 数々の悲惨な戦争を経験したヨーロッパでは偏狭なナショナリズムを煽るのは「禁じ手」とされ、特に「領土」を政争の材料にする政治家は「最低」との烙印を押される。
 領土問題は古今東西、ほとんどの戦争の引き金となってきた。
 第一次、第二次大戦という史上最大の悲劇の誘因はドイツ、フランスなど国境問題だ。
 その反省からEUはつくられた。

 筆者が30年以上前に取材した、英国・アルゼンチン間のフォークランド紛争(1982年)は示唆に富む。
 大西洋上に浮かぶ絶海の小島をめぐり、領土ナショナリズムを煽った両国の為政者とメディアの責任が大きいのは論をまたない。
 この無益な戦争で両国の兵士1000人以上が死傷した。
 30年以上経った今でも抜本的な解決を見ていない。
 当時の英国首相はサッチャー。
 日本では「鉄の女」として称賛される傾向にあるが、英国を含む欧州各国の多くの人々から「戦争扇動者」と見なされている。

 2年前に石原東京都知事(当時)が主導した、尖閣諸島「購入」「上陸」計画は平和の海に嵐を呼ぶ危険な挑発だった。
 その後、尖閣問題をめぐり、日中双方に狭隘なナショナリズムが急速に広がり、両国のメディアでは「けしからん」「もっと毅然と」「弱腰になるな」と勇ましい言葉が飛び交った。
 その後の「尖閣国有化」「反日デモ」を経て、いまだに緊迫した関係が続いている。

 国内に難題を多く抱える中国習主席も、うっ積する民衆の不満を「反日」という切り札を使って抑え込んでいるとの見方も多い。
 統制されている中国メディアが反日的な情報を国民に伝えることによってナショナリズムを鼓舞しているようにも見える。

 韓国も、日本との間で「竹島問題」や「歴史認識」をめぐりでぎくしゃくした関係が続いている。
 朴大統領や韓国メディアが日本を標的にして、厳しい国内問題から国民の目をそらそうとしているのも同じ次元のようだ。

 このようにぴりぴりと緊張した状況は、関係国の多くの国民に不利益をもたらす。
 最も大変なのは、日中韓の最前線にいる人たちだ。ビジネスマンやその家族、留学生ら在留日本人が影響を受け、日本に住む韓国人、中国人たちも同じような不安を抱いている。

 為政者とメディアが「鬼畜米英」と声高に叫び、国民を戦争に駆り立て、悲惨な結果を招いた戦前の愚を繰り返してはならない。


 中国や韓国は「反日教育」を国是としている。
 小さい頃から反日を徹底的に叩き込む。
 でも日本の小学校で「反中教育」や「反韓教育」が行われているというのは聞いたことがない。
  戦前の日本の小学校では「鬼畜米英」を教えたという。
 だが、今の小学校は「友好」を教えている。
 中韓の今の教育は「鬼畜日本」を教えるものとなっている。

 とすると、最近の「嫌韓」「嫌中」論は「作用と反作用の原理」に基づくものと見るのが至当だろう。
 作用がなければ反作用は生まれない。
 「排他的ナショナリズムは禁じ手」という。
 排他的ナショナリズムいう作用がなければ、対応する排他的ナショナリズムも反作用しない。
 どっちもどっちだが、
 作用が止まらない限り反作用も止まらない、
というのが原理だろうかと思われる。
 作用が止まるまではこのゲームはおさまらないだろう。
 行くべきところまでいって作用者の疲れ果てるのを待つしかない。
 中国の言うところの「新持久戦」だろう。
 つまりこの中韓反日教育連合との持久戦に日本は耐え続けられるかどうか、ということである。

【参考】

レコードチャイナ 配信日時:2014年4月7日 13時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86138&type=0

中国が日中首脳会談の条件提示か
=環球時報社説は「関係冷淡の“新持久戦”展開すべき」―SP華字紙
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