2014年4月26日土曜日

韓国の威信、地におちる-(9):集団ヒステリー状態に陥った韓国、事故現場に押し寄せた選挙候補者たち

_

●カカオトークから送られてきた黄色いリボン


JB、 Press 2014.04.26(土)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40542

旅客船沈没で集団ヒステリー状態に陥った韓国
デマや詐欺が横行、事故を選挙に使おうとする候補者まで・・・

  韓国は今集団鬱状態に陥っている。
 毎日朝から晩までセウォル号沈没関連のニュースが延々と続き、バラエティ番組など、笑いにつながりそうな番組は自主規制で制作を控えているからでもある。

 筆者の場合、朝起きるとネットでセウォル号沈没関連の記事を読み、涙を浮かべながら1日が始まる。
 これは筆者だけのことではないらしい。
 最近誰と会ってもニュースを見ると涙が出るという話をするのだ。ちょうど、東日本大震災の時のように胸が苦しくなる。

■乗客の生還を望む黄色いリボンに著作権騒ぎ

  22日の夜、カカオトークから次のようなグループメッセージが送られてきた。

 「黄色いリボンは、『無事に戻って来ることを祈りながら待っています』という意味です。全国民のカカオトークのプロフィール写真が黄色いリボンに変わるその日まで・・・周りを変えてください」

 「珍島にいらっしゃる保護者たちが自分たちのカカオトークを開けた時に、すべてのカカオトークのプロフィール写真が黄色に染まり、彼らを慰められるようにしてください」

 「子供たちに送った『カカオトーク』の横にある1という数字は消えないけれど、親たちが自分たちのカカオトークを見た時に私たちも一緒に悲しんでいるんだという事実を伝えてください」

 このメッセージと一緒に黄色にベースに黒縁のリボンが描かれた写真が送られてきた。
 リボンの下のコピーは「1つの小さな動きが大きな奇跡を」と書かれていた。

 米国の伝承で戦争から戻って来ることを願う女性が黄色いリボンをしていたり、ニューヨークポストのコラムニスト、ピート・ハミルが書いた「Going Home」では刑務所から出てくる男性が妻に「自分が戻ってきてほしいなら木の幹に黄色いリボンを結んでくれ」と頼んだりするくだりがある。
 また、黄色いリボンを結んで帰りを待つ人の気持ちを表すのはドラマや映画、歌にもなっている。

 そうしたことからヒントを得た「黄色いリボン」はすぐオンライン上で広まっていった。
 これを考案したのはALTという大学生たちのサークルだという。

 しかし、広まり始めた頃、オンライン上で
 「黄色いリボンには著作権があって、プロフィール写真に使っていると500万ウォン(約50万円)の著作権料を払わされるので、すぐにやめた方がいい」
というデマも一緒に広まった。

 現在、彼らに問い合わせが殺到しており、ALTの大学生たちはホームページに
 「みんなに広めたいだけで、著作権料を取るというのはデマです」
と断言している。

 だが、彼らの断言が全部に伝わらないのか、デマだけが独り歩きしてしまっているようだ。
 そのせいか、黄色いリボンはALTが考案したものとは形の違うものがいくつも出始めた。

■生存者の声を聞いたという民間の潜水士がテレビに登場


●珍島港で海に向かって座り泣き崩れる沈没した旅客船セウォル号の乗客の家族〔AFPBB News〕

 もっとも形はどうであれ、救助される人が1人でも多く見つかってほしいという気持ちには変わりはない。
 オンライン上だけでなく、現在は沈没船からの帰りを待つ人たちのいる港や学校の校庭、至るところで黄色いリボンを結び始めているのだ。

 上述したデマもそうだが、今回の事件では嘘や流言飛語が真の情報と交錯して国民に伝わっている。

 先週、あるケーブルテレビでは民間の潜水士だと自称する女性が出演し、
 「まだ船内に生存者がいて、民間の潜水士と会話を交わしたのに救助隊幹部の人たちが救助させてくれない」
とか
 「民間の潜水士たちを待ちぼうけにして何もさせてくれない」
などと話していた。

 このインタビューは韓国を震撼させた。
 インタビューを信じた人たちはこのケーブルテレビの動画を一生懸命広めた。

 さらに
 「船内に死体があるのを確認したが、救助隊幹部が取り出さないように指示した」
とか、
 「セウォル号が沈没したのは米軍潜水艦と衝突したせい」
とかの陰謀説まで広まった。

 上述した女性はすぐに虚言癖があることがばれた。
 彼女は民間の潜水士でもなく、これまでネットやテレビでいろいろな嘘をついてきたことがあることも分かった。
 だが、問題はその虚言を信じてしまう人たちがいることである。

 それは彼女がもっともらしくテレビで言ったからではなく、まだ生存者がいるに違いないと思っている人たちの気持ちにつけ込んでいるからである。
 彼女に対しては逮捕状が出て自首しているが、陰謀説を広めた人たちはまだ捕まらない。

 現在、政府の事故への取組に不満を感じている人たちはこうしたデマに翻弄されやすくなっているようだ。

 事故の初動対応がうまくいかなかったため、こんな悲惨な事態になってしまったと思い込んだ人たちが不信感を募らせ、怒りのやり場がなくなり、どうしていいのか分からない状態になっている。

 そうした救難を待つ家族の気持ちにつけ込み「1億ウォンを払えば船内から死体を取り出してあげる」などと嘘を言って、被害者家族に近づく輩まで現れた。

■事故現場に押し寄せた地方選の候補者たち


●旅客船の沈没した位置を示すブイ〔AFPBB News〕

 さらには、被害者家族の代表だとマスコミ相手にいろいろ発表をしていた人が実は被害者家族ではなく地方選挙の予備候補者だったケースもある。

 現在の韓国は、情報が交錯するなどという生やさしい状態ではなく、伏魔殿と化してしまったようだ。

 ちなみに韓国は6月4日に地方選挙を控えており、事故が起こる前までは激しい選挙戦が繰り広げられていた。
 候補者たちは今回の事故を利用しマスコミに露出しようと、大挙して事故現場にやって来た。

 ソウル市長予備候補であるチョン・モンジュン議員の子息は彼のフェイスブック上に次のように書き込んだため父親が謝罪会見を開く羽目になった。

 「似たような事件が起きても理性的に取り組む他の国とは違って、韓国の国民は大統領が救助に最大限努力すると言ったのに、大声でどなったり、罵詈雑言を浴びせたり、国務総理には水を浴びせたりしているばかりだ」

 「国民情緒がとても未熟なのに大統領だけが神のような存在になって国民のニーズを満足させられると期待するのはおかしい。
 国民が集まって国家となる。
 国民が未熟だから国家も未熟なんじゃないか」

 また、安全行政部の某局長が珍島の港の家族支援状況室の前で記念撮影をしようとしたことに、現場にいた害者家族たちが抗議するという事件も発生した。
 騒動が大きくなると、当局はたった3時間後に局長職を剥奪してしまった。

 被害者家族は待ち続けて疲労困憊、救助に携わっている潜水士も減圧に耐えられなくなりつつあり、見守る視聴者も徐々に疲れを感じ始めているようだ。
 ここにきてその誰もが臨界点に達しつつあるのではないかと思う。

 誰も我慢ができなくなり、ちょっとでも意にそぐわないところがあると、すぐ爆発してしまう。
 いまの事故現場は、そんな感じなのである。

Younghee Ahn(アン・ヨンヒ)
JMM、朝日新聞などでコラムを書いたことがあり、現在は国際会議の同時通訳のかたわら、梨花女子大学、ソウル同時通訳大学院大学で教鞭をとっている。


 民族心理学的にみたら、このような社会意識の集団が朝鮮統一などできるのだろうか。






_