JB Press 2014.04.16(水)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40456
韓国の大企業資産ランキングから見えること大きいグループはさらに大きく、公企業の躍進続く
韓国公正取引委員会は2014年4月1日、恒例の大企業グループ資産規模ランキングを発表した。
トップがサムスングループ、
2位が韓国電力公社
など上位の顔ぶれはここ数年変わらないが、内容をよく見ると、最近の韓国の産業界で起きている構造的な変化が浮かび上がってくる。
ランキングは、正式には「相互出資制限企業集団指定現況」という。
公取委は、資産規模5兆ウォン(1円=10ウォン)以上の企業グループを毎年選定して、グループ内企業間の相互出資や債務保証を禁止し、系列の保険会社に対する議決権行使も制限するなど規制している。
このランキングは産業界では「財閥ランキング」とも呼ばれ、時に財閥総帥のメンツをかけた規模拡大競争の「ネタ元」にもなっている。
上位グループの顔ぶれを見ると、1位サムスン、2位韓国電力公社は2013年と変わらず、3位に現代自動車が躍進、韓国土地住宅公社が代わって4位になった。
以下、SK、LG、ロッテ、ポスコ、韓国重工業、GSなどで上位グループの顔ぶれは変わっていない。
流通大手の新世界は、資産規模ランキングで21位から19位に上昇した。
2014年に資産規模が5兆ウォン以上だったのは63グループ。
前年よりも1つ増えた。
新たに5つのグループが「資産5兆ウォン以上」となり、4つのグループが外れた。
まず、ランキングから外れたグループを見ると、東洋、韓国投資金融、STX、熊津の4つだ。
このうち、韓国投資金融は「金融業専業」と見なされ、公取委の規制対象から外れた。
■「消えた」有名グループ、熾烈な淘汰を反映
残りの3グループは、いずれも経営危機に陥った。サラリーマンから財閥オーナーに華麗なる転身を遂げた会長が率いたSTXは、造船不況で業績が急速に悪化し、系列企業の売却が続いた。
百科事典のセールスマンから身を起こし財閥総帥に転身した会長が率いた熊津も、無理な拡大策が裏目に出てグループ解体に追い込まれた。
東洋は、経営が悪化していたにもかかわらず系列企業のCP(コマーシャルペーパー)を大量に発行して一般投資家に販売し、グループ解体とともにオーナー会長の経済犯罪が追及されている。
わずか1年間で、韓国でも有名なグループが3つ「消えた」こととなり、韓国の財閥の間でも熾烈な淘汰が起きたことが分かる。
一方で、新たにランキング入りしたのは、5グループだが、このうち3つが、韓国石油公社、韓国地域暖房公社、ソウルメトロと公企業だった。
2014年のランキングの特徴の1つが、「公企業の躍進」と言える。
63グループのうち民間グループは49で前年に比べて2つ減り、公企業は14で3つ増えた。
■民間グループの集中度上昇と公企業の躍進
グループ数だけではない。
グループ傘下にある企業の数を見ても公企業の躍進ぶりは際立つ。
資産規模5兆ウォン以上のグループの系列企業の数は前年の1680社から2014年には1579社へと減少した。
だが、公企業の系列企業数は88社から98社へと逆に10社増えている。
また、公企業を除く民間グループを見ると、
の資産規模は2010年の460兆ウォンから2014年の760兆ウォンへと大きく伸びた。
上位30民間グループの資産規模に占める
4グループ(サムスン、現代自動車、SK、LG)
の資産規模のシェアもこの間、46%から52%に上昇した。
つまり、韓国の大規模グループの間では、
①.「大きいグループはさらに大きくなる」ということと、
②.「公企業の存在がさらに拡大している」ということ
が同時進行している。
この狭間で、中堅、小規模グループの中から脱落したり、経営が悪化しているグループが出てきていると言えるのだ。
公取委の発表資料を見ると、2013年のグループ企業の単独決算の純損益を単純合計した結果、「赤字」となったのは、現代(9750億ウォン)、韓進(9250億ウォン)、大宇建設(7390億ウォン)、東部(5890億ウォン)など16グループだった。
サムスン電子や現代自動車の圧倒的な業績に隠れてはいるが、経営難に陥っている有名財閥も多いのだ。
■純利益が一番減ったのがサムスングループ!?
サムスングループにしても、「盤石」とは言えない。
公取委の発表資料を見ると、63グループのうち、2013年決算で純利益が最も多かったのは
サムスンで22兆ウォン
だった。
サムスンの場合、資産規模も前年よりも25兆4000億ウォン増加した。
最大の増加で、グループの規模はさらに拡大した。
グループ別純利益では、
現代自動車(14兆1000億ウォン)、
SK(4兆6000億ウォン)、
LG(2兆2000億ウォン)、
ポスコ(1兆9000億ウォン)
が続いている。
この順位には違和感がないが、「純利益が最も減少した」のも何とサムスンなのだ。
前年に比べて4兆9000億ウォン減少したという。
公取委のこの発表は、グループ企業の単独決算の純損益を単純合計したものだ。
サムスンのグループ企業数は74だ。
全体の利益は22兆ウォン(金融関連会社を除く)。
このうちサムスン電子の利益は約18兆ウォンで、前年に比べて多少増えている。
とすると、残りの企業の利益が1年間で5兆ウォンも減ってしまったことになる。
サムスングループの利益額は群を抜いており、利益額の増減でもトップになることは当然だ。
また、サムスン電子が突出していると言っても、他の企業で4兆ウォンの利益を上げているというのは、絶対額として相当の水準だ。
問題は利益が「減少」したことだ。
サムスングループで相次ぐ再編、合併、リストラはこうした危機感のためなのだ。
あらためてランキングを眺めていると、感慨深くもある。
■韓国経済の猛烈な新陳代謝
STXや熊津は、上位に食い込もうと無理に無理を重ねた。
だが、「無理な拡大」を志向するのは、財閥総帥の宿命で、こうしたバイタリティーがグループを拡大させ、韓国経済を牽引したことも確かだ。
ここ数年を見ても、ハンファグループや錦湖アシアナグループが、伸るか反るかの大型買収を仕掛け、途中で取りやめたり、その後遺症で経営が一気に悪化してしまった。
韓国がIMF経済危機の直撃を受けた1998年4月に発表になったランキングを見ると、3位に大宇、7位に双竜、10位に東亜が入っていた。
いずれもその後、グループの解体に追い込まれた。
かつて上位グループを占めていた現代(29位)、暁星(34位)、コーロン(39位)は、生き残ったが、順位を大幅に下げている。
韓国の財閥は、グループと総帥のメンツをかけて拡大を目指し、成功と失敗という猛烈な新陳代謝を繰り返しているのだ。
■「経済両極化」の解消掲げる朴槿恵政権
ランキングを見て気になるのは、公企業の躍進ぶりだ。
韓国経済に占める公企業の存在はじわじわと拡大している。
大学生の就職希望先を見ても、サムスンや大手銀行、公務員などと並んで公企業は常に最上位を占める。
韓国経済の中で、超大型財閥と公企業の比重が高まっていることは、「経済の両極化」の裏返しでもある。
また、公企業は時の政権の意向を汲んで、採算性度外視で大型投資をする。
その結果、公企業の債務も深刻な問題になっている。
「経済両極化」の解消を掲げる朴槿恵(パク・クネ)政権の重要な経済政策は、「規制緩和」や「公企業改革」だ。
規制を緩和することで、中小、ベンチャー企業を育成し、外国企業を誘致して雇用を増やす。公企業に切り込むことで、予算の乱費を防ぎ、民間にできることは民間に任せる。
公取委のラインキングを見ると、朴槿恵政権の政策の方向性もよく分かる。
玉置 直司 (たまき・ただし)Tadashi Tamaki
日本経済新聞記者として長年、企業取材を続けた。ヒューストン支局勤務を経て、ソウル支局長も歴任。主な著書に『韓国はなぜ改革できたのか』『インテルとともに―ゴードン・ムーア 私の履歴書』(取材・構成)、最新刊の『韓国財閥はどこへ行く』など。2011年8月に退社。現在は、韓国在住。LEE&KO法律事務所顧問などとして活動中。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2014/04/15 09:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/15/2014041500750.html
昨年の青年求職者、過去最高96万人
韓国では昨年、失業が深刻化し、全国で就職志望の青年が100万人に迫ったことが分かった。
韓国職業能力開発院が統計庁の2007-13年の経済活動人口調査を分析した結果、昨年時点で就職志望の15-29歳の青年は96万人を数え、
07年(68万2000人)に比べ40.8%増加した
ことが分かった。
これは統計庁が関連統計を取り始めて以降で最多だ。
就職志望の青年のうち、公務員志望者が31万9000人で最も多く、3人に1人を数えた。
公務員試験の受験者は一時28万人台まで減少したが、昨年は大幅に増え、6年ぶりに30万人台を回復した。
昨年実施された9級公務員(日本の国家3種に相当)の公募には20万4698人が応募し、競争率は74.8倍に達した。韓国職業能力開発院は昨年から高卒公務員試験が導入されたことが影響を与えたとみている。
このほか、4年制大学や大学院を卒業したものの、就職できずにいる青年48万7000人のうち26.1%が公務員試験の受験を目指している。
民間企業志望者も増えた。
2010年に13万3000人だった民間企業志望者は、昨年には26万人を数え、2倍近くに増えた。
オ・ホヨン上級研究委員は
「職務適性検査を導入した大企業が増え、民間企業への就職にも『就職塾』が登場している」
と指摘した。
』