2014年2月9日日曜日

1994年の韓国と「失われた20年」:「海外メディア」と知識人の政治的共犯関係

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朝鮮日報 記事入力 : 2014/02/09 09:22
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/09/2014020900338.html

【コラム】1994年の韓国と「失われた20年」

 一人一人にそれぞれ悩みはあっただろう。
 しかし、今振り返ってみると、1994年当時の韓国人は活力がみなぎっていた。
 大学生の海外研修やバックパック旅行が大ブームになり、「新世代」「お姫様病(女性が自分のことをまるで『お姫様』のように思い込んでしまう状態)」「へそ出しTシャツ」「オレンジ族(ソウル市江南地区の富裕層の若者)」といった言葉が流行した。
 国力の増強が続いていた韓国が独自に核開発をするという内容の小説(金辰明〈キム・ジンミョン〉氏の『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』)が300万部売れたり、韓国が日本に攻め込むという内容の漫画(イ・ヒョンセ氏の『南伐』)が人気を呼んだりした。
 「働くことが青春だろ」(栄養ドリンク「パッカス」)など、広告のキャッチコピーも強烈だった。

 つまり、この時代の韓国には自信がみなぎっていたのだ。
 「韓国はほかの国とは違う」と人々は思っていた。
 日本による過酷な植民地支配とむごい戦争を経験し、貧しい時代が長く続き、ありとあらゆる苦難の道を歩みながらも、まるで重量挙げのスターのように精いっぱい立ち上がったというわけだ。

 過去2000年間、世界経済はどのような興亡、盛衰の道をたどってきたのか。
 英国の学者アンカーズ・マディスン(1926-2010)がそれを表す表を作成した。
 これを見ると、韓国がプライドを感じるのは無理のないことだと分かる。
 1967年まで、韓国の1人当たり国内総生産(GDP)は世界平均の半分にも満たなかった(世界平均3381ドル、韓国1645ドル)だったが、82年には世界平均を超え(世界平均4550ドル、韓国4557ドル)、94年にはには世界平均の2倍を超えた(世界平均5303ドル、韓国1万1199ドル)

 韓国よりも豊かな国は多い。
 だが、韓国のように貧しい国から急成長を遂げた国はない。
 その上、経済成長だけでなく民主化も実現した。
 韓国は、このようなダイナミックさが、自国と日本の最も大きな違いだと考えた。
 日本は現時点では韓国よりも豊かな国だが、朝日が昇るような勢いが感じられる韓国の方が優れている、と思った。
 多くの人々が
 「日本から学ぶことがこれ以上あるのか。
 いっそのこと欧米に出ていこう
と口にした。

 これは果たして正しい判断だったのだろうか。
 最近、専門家たちの会合に出ると「韓国はうかつだった」という発言がたびたび聞かれる。
 日本を見れば見るほど「決して人ごとではない」と感じているというわけだ。
 日本社会が「失われた20年」を迎えた当初の数年間を見ていると、特にそう感じられる。

 日本では1991年、バブル経済が崩壊した。
 それがきっかけとなり、一時は3万9000円を超えた日経平均株価は2万円前後にまで急落した。
 家計の借金が急増し、金融機関が相次いで倒産、さらに高齢化までが重なった。

 希望を失った若者たちが増え、憂鬱(ゆううつ)な造語が次から次と登場した。
 大人になっても結婚せず親元から離れない「パラサイトシングル」や、長期不況に入ったころに生まれ、経済がうまくいっている様子を知らないまま大人になった「失われた世代(ロストジェネレーション)」、定職がなくアルバイトで食いつなぐ「フリーター」などなど…。

 そのころ、韓国経済は駐車場に入ったばかりの車のように、まだエンジンの余熱が残っていた。
 そのおかげで韓国は長い間、日本の状況を見ながら
 「日本の若者たちにはまるで覇気がない」
という言葉を簡単に口にした。
 だが今では、韓国の大学生たちが自らを「余剰人材」と評している。
 それもきのう、きょうのことではない。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/02/09 09:36
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/09/2014020900379.html

【記者手帳】「海外メディア」と知識人の政治的共犯関係

 「正常追(正義と常識を追求する市民ネットワーク)」
という聞き慣れない名前の団体がフェイスブックに開設したページには、外国メディアのニュースが大量にアップされている。
 鉄道労組によるストライキや、慶尚南道密陽市の送電鉄塔建設工事をめぐる問題、国家情報院による大統領選挙への介入疑惑などについて、韓国政府を批判する内容がほとんどだ。
 正常追はこれらの問題を報じる外国メディアの記事を韓国語に翻訳し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やポータルサイトなどを通じて、リアルタイムで韓国国内に広めている。

 正常追はフェイスブックのページに「韓国や朴槿恵(パク・クンヘ)大統領について肯定的に報じる外国メディアの記事は一つもない」というコメントを書き込んだ。
 正常追がアップする外国メディアの記事だけを見ると、韓国社会は強圧的な政権の下で苦しむ「収容所群島(旧ソ連の作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンがフランスで出版したルポルタージュ作品)」と何ら変わらない。
 韓国の主要メディアは、その現実から目を背ける「えせメディア」にすぎないことになる。

 正常追が「世界的な権威と影響力を持つメディア」として引用している記事の原文が記載されたサイトを見ると、さらにあっけにとられる。

 正常追がたびたび引用する「グローバルボイス」は、一種のブログにすぎない。
 韓国に関する約40件の記事のほとんどは、韓国人の名前をかたった「L氏」が一人で書いたものだ。
 同じく正常追が引用する「サンフランシスコ独立メディアセンター」のウェブサイトに、昨年9月から12月の間に掲載された記事はたった4件だった。

 正常追は先月「韓国政府は、米国での鉄道労組を支持するデモを妨害するため、金を出して要員を雇っている」というサンフランシスコ独立メディアセンターの記事を引用したが、原文を見ると、その記事の根拠は示されていなかった。
 メディア学を専門とする大学教授は
 「『外国メディアの記事ならば、客観的に真実を伝えるだろう』という一般人の心理を悪用する手法だ。韓国で広がるさまざまなデマの震源地ではないかと思う」
と語った。

 1970-80年代、後に韓国人だったことが判明した「T・K生」という匿名の人物が日本の雑誌「世界」に連載した「韓国からの通信」も、同じように物議を醸した。

 この連載は韓国に逆輸入され、当時の軍事政権に対する批判や抵抗のための「武器」として活用されたが、後に筆者が正体を現し、多くの記事が事実を歪曲(わいきょく)したり、捏造(ねつぞう)したりしたものだとして批判を浴びた。

 政府に対する批判は自由だ。
 だが、歪曲された外国の情報を、一部の知識人やメディアまでが引用して人々をあおるのは問題だ。
 海外のサイトにでたらめな書き込みをする韓国系の人物と、その内容を「有力な外国メディア」として引用し広める者たちが、政治的に共生関係にあるとすれば、さらに深刻な問題だ。




【「反日という媚薬」に蝕まれる韓国】


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